パズルを応用したゲームの考案もいろいろとあって市販されています。殊に『立体将棋』は傑作中の傑作で、木村名人を大いに呻らせたと申します。

(1)★

9)□□□□□□
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
6) 3925□ 残り4
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    □□□□ 残り3

(2)[#「(2)」は底本では「(2)★」]

 □□□   2
――――― = ―
 □□□□   4

註:――
1から9までの九種の数字をはめこむこと(2と4とは既に使ってありますね)

(3)★

       IOR
   _______
ACR)IDGDRR
     ACR
   ―――――――
     COOR
     SEOO
     ―――――
      UDSR
      OOIR
      ――――
       RID

[#「O」は覆面の英字です。]

(4)★

         □□7□
    _________
□□□□)□□9□□□□□
     □□□□9
    ―――――――――
      9□□□□
      □□9□□
      ―――――――
       □□□□9
       □□□□9
       ――――――
        □9□□□
        □□□□□
        ―――――
            0


  “虫喰い算”大会 第十九会場


 数学パズルは、なぜイギリスだけに盛んなのであるか、面白いことであります。私が序文のところに掲げた五冊の文献洋書は悉《ことごと》くイギリスの刊行にかかります。
 アメリカでは、あまりこんな辛気《しんき》くさいものを見かけません。尤《もっと》もアメリカにも全然ないというわけではなく、少しはあることはあるのですが、イギリスのようにアカデミックな風格は備えていません。アメリカではそれより手品や実験の方が、少年達に人気があるようです。
 ああ、そうそう。こちらは第十九会場!

(1)★

8)□□□□□
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
7) □□□□ 残り7
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    772 残り4

(2)★

 2  1
1―×4―=□
 □  5

(3)★

      AFBEC
   ________
ABC)ATTTAAT
    ABC
   ――――――――
     GFT
     GCH
     ――――――
      CAA
      BDF
      ―――――
       FEA
       FAE
       ――――
        CFT
        CFT
        ―――
          0

(4)[#「(4)」は底本では「(4)★」]

       □□□□
   ________
□2□)□□2□9□□
    □□□□
   ――――――――
      □□□
      □□□
      ―――――
      □□□□
      □□□0
      ―――――
        □7□
        □□□
        ―――
          0


  “虫喰い算”大会 第二十会場


 古い日本の書物で、数学パズルの載っていたものがあり、また昔、横浜の南京町で手に入れた中国の数学パズルの本があり、共に大切にしていたのですが、先頃のさわぎでどこへ行ってしまったか分らずなりました[#「分らずなりました」はママ]。甚だ遺憾であります。
 おお、ここは第二十会場であります。この会場をパスされれば、全道程の三分の二を通過され、ゴルファなら、これからいよいよシングルへ進むわけです。おっと、おっと、胸をお張りになるのは、本会場の四問題をお解きになってからの方が、ようございます。

(1)★

      □A□
   ______
□A□)□□□□□
    □□□
   ――――――
    □□BB
    □□BA
    ―――――
     □A□□
     □□□□
     ――――
        0

(2)★

       □□□□□
   _________
□□□)□□□□□□□□
     □□□
   ―――――――――
       □□□
       4□□
       ―――――
        □□□
        3□□
        ――――
        □□□□
        □4□□
        ――――
           0

(3)★

            NINIO
      ___________
MARTIN)HARRINGTON
       HMGIAN
      ―――――――――――
         HAOIGT
         HMGIAN
         ――――――――
          MMITLON
           LOGATI
          ―――――――
           MMGGTN

[#「O」は覆面の英字です。]

(4)★

      ADHA
   _______
ACC)ATEHBC
    ACC
   ―――――――
     GBH
     ECB
     ―――――
      TEB
      TCA
      ――――
       BAC
       ACC
       ―――
        SW


  “虫喰い算”大会 第二十一会場


 もう既に見えなければならぬ筈なんですが、一向見えませんが、どうしたものでありましょうか。いいえその、名誉ある第二十階選士たちの姿が、いまだにどうもね。颱風で橋梁《きょうりょう》が流れたためでしょうか、それとももしや途中原子爆弾に……。
 序文のところで御紹介しましたバーナード先生は、アボッツホルム学校の助教諭であったマスター・オブ・サイエンスです。
 おお、漸《ようや》く見えました。あなたがたは一体どうされたんですか。心配しておりましたよ。なに、ここはどこか? おや、そんなにふうふうですか。ここは第二十一会場ですけれど……。

(1)★

    □□7□□
 ×    □7□
―――――――――
    □0□7□
   □□0□□
  7□□0□
―――――――――
  □□□□□□□

(2)★

   AM6
 ×  MN
――――――
   5FN
  2DM
――――――
  3F2N

(3)★

       □□□
   _______
523)□□□667
    □□□□
   ―――――――
     □□□6
     □□□□
     ―――――
      □□□7
      □□□□
      ――――
       193

(4)★

       DCAM
   ________
AEQ)MBDNUQN
    MDUE
   ――――――――
      BQU
      AEQ
      ―――――
      QBDQ
      QDCY
      ―――――
       CNQN
       CNQN
       ――――
          0


  “虫喰い算”大会 第二十二会場


 こちらが、確かに第二十二会場であります。むつかしくなりましたって。それはそうでしょう。第二十階以上になりますと、うんと頑張っていただかねばなりません。呑気《のんき》に構えていますと、途中で化石になってしまいますよ。といって、あんまりむきになると、目が三角になってしまって、後で癒《なお》すのに骨が折れますよ。
 しかしむつかしい問題にぶつかればぶつかるほど、虫喰い算のはかりしれない魅力が感ぜられます。そうではございませんか、第二十一階選士がた。

(1)★

     BAAB
 ×    ABC
―――――――――
    B□□□A
   □□□□C
  □□□□□
―――――――――
  □□□□□□□

(2)★

  2□□□
96―――― = 100
   □□□

註:――
1から9までの九種の数字をはめこむこと[#「はめこむこと」は底本では「はめこむと」](9と6と2は、既に使いずみ)

(3)★

     □7□
  ______
□7)□□□7□
    □□
  ――――――
    7□7
    □□□
    ――――
     5□□
     5□□
     ―――
       0

(4)★

      RHUCU
   ________
HSH)HMHECUT
    HSH
   ――――――――
     MSE
     USU
     ――――――
      CCC
      ISI
      ―――――
      RCRU
      RIRI
      ―――――
        CAT
        ISI
        ―――
        RMC


  “虫喰い算”大会 第二十三会場


 例のデュウデニー先生ですが、この先生の有名な四つの著書の名を、ここにあげて置きましょう。
 第一は『カンタベリー・パズルと、その他の珍らしい問題』。次は『算術遊び』。この本は非常に有名で、日本の雑誌などに使われた数学パズルの種本であります。原名は Amusements in Mathematics です(もしもし、これは覆面算の問題ではありません。鉛筆をおなめになるに及びません)。第三は、The World's Best Word Puzzles。それから第四は本書の序文に出してある『最新のパズルとその解き方』です。
 ここは第二十三会場の入口でございます。

(1)★

    ABCDE
 ×    FBC
―――――――――
   AEDFFB
  GGFEFA
  ABCDE
―――――――――
 FHDEETJB

(2)

     □     □
(□□+□―)=(□□―)
     □     □

註:――
=の左側は奇数 1,3,5,7,9 を,=の右側は偶数 2,4,6,8 をはめこむこと

(3)★

    EMA
  _____
MA)UEMA
   MA
  ―――――
    TM
    AS
    ―――
    EMA
    EMA
    ―――
      0

(4)★

         □□□□
    _________
3□□4)□□□□□□□□
     □□□96
    ―――――――――
       □□□□
       3□□□
       ――――――
       □□□□□
        □5□2
       ――――――
        □□□□□
        □□□1□
        ―――――
            0


  “虫喰い算”大会 第二十四会場


 こちらは第二十四会場でございます。
 虫喰い算で忘れてはならないブーン先生のことは前にちょっと申しましたが、この先生はダルウィチ大学の数学の主任の先生であります。
 その出版元はミルズ・アンド・ブーン株式会社ですが、このブーンとブーン先生との関係は分っていません。
 ブーン先生の名著『パズル・ペーパーズ・イン・アリスメチック』は本当に愛すべき書物でありますが、その巻頭に於ける例題の「解き方」の解説が間違っているのは御愛嬌であります(その書、第九頁)。

(1)★

   AB7
 − 7BA
――――――
   1AB

(2)★

    □□□□
 ×   □□□
――――――――
    9□□□
  19□4□
 26□□2
――――――――
 □□□5□□□

(3)

       □□□
   _______
628)□□□270
    □□□□
   ―――
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