水に沈むロメオとユリヤ
神西清
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)弗羅曼《フラマン》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)六十万|石《ごく》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「足へん+宛」、第3水準1−92−36]《もが》く
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[#ここから22字下げ]
弗羅曼《フラマン》の娘、近つ代の栄えのひとつ、
弗羅曼の昔ながらに仇気ない……(オノレ・ド・バルザック)
[#ここで字下げ終わり]
黄昏《たそがれ》の街が懶《ものう》く横たはつたまま、そつと伸びあがつて自分の溝渠《ほりわり》に水鏡した。――この様な句を読むとすると、嘗《かつ》てロデンバックの短篇集を繙《ひもと》いたことのある人ならきつとあの廃都ブリュジュの夕暮を思ひ描くに相違ない。そして彼等は聴くであらう、同時に近くから遠くから涌《わ》き起る洞《うつ》ろな鐘のひびきを、続いて無数の黄ばんだ祈りの声を。のみならず、たとへば私なら、もつと先を想像することが出来る。――そんな
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