はシャルロッタにうなずいて見せ、ふたり退場)あの子はあなたを愛していますし、あなたもあれがまんざらでもなさそうなのに、わからないわ、どうもわからない、なぜあなたがた二人は、おたがい避け合うようなふうをなさるのか。わからないわ!
ロパーヒン わたし自身も、じつはわからないんです。どうも何かこう妙な具合でしてね。……まだ時間があるようなら、わたしは今すぐでも結構です。……一気に片をつけて――あがりにします。あなたがいらっしゃらなくなると、どうもわたしは、申込みをしそうもありませんよ。
ラネーフスカヤ 願ったりですわ。一分もありゃ、じゅうぶんですものね。すぐあの子を呼びましょう。
ロパーヒン ちょうどシャンパンもあります。(小型グラスをすかして見て)おや、空《から》だ、誰かもう飲んじまった。(ヤーシャ咳払《せきばら》いをする)がぶ飲みとはこのことだ……
ラネーフスカヤ (いそいそと)結構だわね。わたしたちは向うへ……ヤーシャ、|おいで《アレ》! いま呼びますからね……(ドアの口へ)ワーリャ、そこはほっといて、こっちへおいで。さ、早く! (ヤーシャとともに退場)
ロパーヒン (時計をのぞいて)
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