ろを知つた。僕が産婦人科に収容されたのは、つまり羞恥症の快癒状態を実地によつて検証するためであつたのだ。僕はこのテストにパスして、一週間後には解放されるはずであつた。
 僕がこの二度目の入院中に見聞したことで、書きもらしてならぬことがある。それは女性を「女性」から解放する研究が、すでにこの国ではかなり進んでゐることである。それは煎《せん》じつめれば、出産を全免ないし禁止することでなければならない。精子と卵子との試験管内における人工交配は、すでにQ国では一般化されてゐるけれど、それでもまだ遊戯的な恋愛の結果たる姙娠《にんしん》現象は、必ずしも減少してはゐないと言はれる。それは現にこの鰐博士の分娩室や手術室が、日々相当の賑《にぎ》はひを示してゐることでも明らかだ。これに対しては専門家の間で、幾つかの根本的研究が進められつつある。例へば山羊博士は、去精の男性一般に及ぼす悪影響の除去について研究中である。これに反して鰐博士は、むしろ子宮や乳房《ちぶさ》の自然退化を促進する方を捷径《しょうけい》と見て、既に三十年をその研究に費《ついや》して来た権威者である。そして僕の見るところでは、鶉《ウズラ》
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