議した。ファシスト? 狂人? などといふ囁《ささや》きが僕に聞えた。しかし結局、滞留許可証は与へられた。滞留場所は、HW一〇九Pといふ指定である。
 君はこのHW一〇九Pといふのを、どんな場所だと思ふか? 僕が先日の放送で、それを極楽にも比すべき豪壮快適なホテルとして紹介したのを、恐らく君は記憶してゐるだらう。だがあれは、プレスコードの勧告に従つたまでのことで、実は病院――しかもその精神科だつたのである。僕がひそかに盗み見た僕のカルテには、封建主義的|羞恥《しゅうち》症と記載してあつた。さして重症でなかつたものか、それとも山羊《ヤギ》博士の治療が卓抜であつたせゐか、僕は三日ほどで全快を宣せられた。さてそこで僕は、ホテル住まひの身になれたか? 断じて否《いな》。僕が次に居住を指定された場所は、同じ病院内の、なんと産婦人科であつた。
 全く、なんといふ侮辱だらう。僕の忿懣《ふんまん》はその極に達したが、今度も抗弁は無効であつた。僕は科長である鰐《ワニ》五郎博士、および研究室附きの若い看護婦、鶉《ウズラ》七娘に引渡され、病棟内の小部屋に収容された。
 改めて言ふまでもなくQ国の家屋は、その国
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