こには、不気味な美があります。「男は弱く、女は強い。そして偶然《ぐうぜん》が、全能の力をもっている」とは、晩年近い作『けむり』の中に見える言葉ですが、このような苦渋《くじゅう》な哲学が早くも少年時代の彼の中に芽ばえなければならなかったことを、『はつ恋』一編はありありと示しています。そこにこの作品の最も大きな特色があると言えましょう。
ツルゲーネフは一八八三年の夏、パリの郊外《こうがい》で亡《な》くなりました。その死後やがて七十周年になるわけです。
[#地から2字上げ](一九五二年晩秋)
底本:「はつ恋」新潮文庫、新潮社
1952(昭和27)年12月25日発行
1986(昭和62)年1月30日73刷改版
1988(昭和63)年5月20日79刷
入力:蒋龍
校正:noriko saito
2010年1月20日作成
青空文庫作成ファイル:
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