ゐん》の事業《じげふ》は總《すべ》て二十|年前《ねんまへ》と少《すこ》しも變《かは》らぬ。窃盜《せつたう》、姦淫《かんいん》、詐欺《さぎ》の上《うへ》に立《た》てられてゐるのだ。であるから、病院《びやうゐん》は依然《いぜん》として、町《まち》の住民《ぢゆうみん》の健康《けんかう》には有害《いうがい》で、且《か》つ不徳義《ふとくぎ》なものである。』
と、彼《かれ》は思《おも》ひ來《きた》り、更《さら》に又《また》彼《か》の六|號室《がうしつ》の鐵格子《てつがうし》の中《なか》で、ニキタが患者等《くわんじやら》を打毆《なぐ》つてゐる事《こと》、モイセイカが町《まち》に行《い》つては、施《ほどこし》を請《こ》ふてゐる姿《すがた》などを思《おも》ひ出《だ》す。
其《そ》れより又《また》彼《かれ》は醫學《いがく》の此《こ》の近《ちか》き二十五|年間《ねんかん》に於《おい》て、如何《いか》に長足《ちやうそく》の進歩《しんぽ》を爲《な》したかと云《い》ふ事《こと》を考《かんが》へ初《はじ》める。
『自分《じぶん》が大學《だいがく》にゐた時分《じぶん》は、醫學《いがく》も猶且《やはり》、錬金術《れん
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