くし》は或時《あるとき》は死《し》なん者《もの》のやうな感《かんじ》もするですがな。其《そ》れは時時《とき/″\》恁《か》う思《おも》ふ事《こと》があるです。
這麼老朽《こんならうきう》な體《からだ》は死《し》んでも可《い》い時分《じぶん》だ、とさう思《おも》ふと、忽《たちま》ち又《また》何《なん》やら心《こゝろ》の底《そこ》で聲《こゑ》がする、氣遣《きづか》ふな、死《し》ぬ事《こと》は無《な》いと云《い》つて居《ゐ》るやうな。』
九|時《じ》少《すこ》し過《す》ぎ、ミハイル、アウエリヤヌヰチは歸《かへ》らんとて立上《たちあが》り、玄關《げんくわん》で毛皮《けがは》の外套《ぐわいたう》を引掛《ひつか》けながら溜息《ためいき》して云《い》ふた。
『然《しか》し我々《われ/\》は隨分酷《ずゐぶんひど》い田舍《ゐなか》に引込《ひつこ》んだものさ、殘念《ざんねん》なのは、這麼處《こんなところ》で往生《わうじやう》をするのかと思《おも》ふと、あゝ……。』
(七)
親友《しんいう》を送出《おくりだ》して、アンドレイ、エヒミチは又《また》讀書《どくしよ》を初《はじ》めるのであ
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