》いからツて!』
『明日《あした》になればお出《い》でになります。』
『何日《いつ》になつたつて我々《われ/\》を決《けつ》して出《だ》すものか。』イワン、デミトリチは云《い》ふ、『我々《われ/\》を茲《こゝ》で腐《くさ》らして了《しま》ふ料簡《れうけん》だらう! 來世《らいせい》に地獄《ぢごく》がなくて爲《な》るものか、這麼人非人共《こんなひとでなしども》が如何《どう》して許《ゆる》される、那樣事《そんなこと》で正義《せいぎ》は何處《どこ》にある、えい、開《あ》けろ、畜生《ちくしやう》!』彼《かれ》は嗄《しやが》れた聲《こゑ》を絞《しぼ》つて、戸《と》に身《み》を投掛《なげか》け。『可《い》いか、貴樣《きさま》の頭《あたま》を敲《たゝ》き破《わ》るぞ! 人殺奴《ひとごろしめ》!』
 ニキタはぱツと戸《と》を開《あ》けるより、阿修羅王《あしゆらわう》の荒《あ》れたる如《ごと》く、兩手《りやうて》と膝《ひざ》でアンドレイ、エヒミチを突飛《つきとば》し、骨《ほね》も碎《くだ》けよと其鐵拳《そのてつけん》を眞向《まつかう》に、健《したゝ》か彼《かれ》の顏《かほ》を敲《たゝ》き据《す》ゑた。ア
前へ 次へ
全197ページ中188ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
チェーホフ アントン の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング