》と云《い》ふ。』アンドレイ、エヒミチは肩《かた》を縮《ちゞめ》る。『譯《わけ》が分《わか》らん、おいニキタ俺《おれ》は出《で》なければならんのだ!』彼《かれ》の聲《こゑ》は顫《ふる》へる。『用《よう》が有《あ》るのだ!』
『規律《きりつ》を亂《みだ》す事《こと》は出來《でき》ません、可《い》けません!』とニキタは諭《さと》すやうな調子《てうし》。
『何《なん》だと畜生《ちくしやう》!』と、此時《このとき》イワン、デミトリチは急《きふ》にむツくり[#「むツくり」に傍点]と起上《おきあが》る。『何《なん》で彼奴《きやつ》が出《だ》さんと云《い》ふ法《はふ》がある、我々《われ/\》を此《こゝ》に閉込《とぢこ》めて置《お》く譯《わけ》は無《な》い。法律《はふりつ》に照《てら》しても明白《あきらか》だ、何人《なにびと》と雖《いへども》、裁判《さいばん》もなくして無暗《むやみ》に人《ひと》の自由《じいう》を奪《うば》ふ事《こと》が出來《でき》るものか! 不埒《ふらち》だ! 壓制《あつせい》だ!』
『勿論《もちろん》不埒《ふらち》ですとも。』アンドレイ、エヒミチはイワン、デミトリチの加勢《かせい》
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