] (頭をかかえて、広間へ急ぐ)まったくひどい。……とてもたまらん、僕は行こう……(退場。しかしすぐ戻って来て)もうあなたとは絶交です! (次の間へ退場)
ラネーフスカヤ (うしろから叫ぶ)ペーチャ、待ってちょうだい! おかしな人ね、ちょっと冗談いっただけじゃないの! ペーチャ!

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次の間の階段を、誰かが大急ぎで登って行く足音がし、とつぜんドシンと落ちる音がする。アーニャとワーリャの叫び声。しかしすぐ笑い声になる。
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ラネーフスカヤ おや、どうしたんだろう?

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アーニャが駆けこむ。
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アーニャ (笑いながら)ペーチャがね、階段から落っこちたの! (走り去る)
ラネーフスカヤ なんておかしな人だろう、あのペーチャは……

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駅長が広間の真ん中に立ちどまって、A・K・トルストイの『罪の女』([#ここから割り注]訳注 ロシア十九世紀の詩人・劇作家トルストイの叙事詩。次にその数行を例
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