ャーシャ。
みなみな客間を一巡して広間へ。ピーシチクの掛声――≪Grand《グラン》 rond《ロン》, balancez《バランセ》!≫([#ここから割り注]訳注 大円陣、みぎ左へ![#ここで割り注終わり])≪Les《レ》 |〔cavaliers a`〕《カヴァリエザ》 genoux《ジュヌー》 et《エ》 remerciez《ルメルシェ》 vos《ヴォ》 dames《ダーム》!≫([#ここから割り注]訳注 騎士はひざまずいて、貴婦人に謝意を表わす![#ここで割り注終わり])

フィールスが燕尾服《えんびふく》すがたで、炭酸《ゼルテル》水を盆にのせて持って出る。客間にピーシチクとトロフィーモフ登場。
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ピーシチク わたしはどうも多血質でね、もう二度も卒中にやられているもんで、踊りはどだい無理なんだが、下世話にもいうとおり、おつきあいなら吠《ほ》えないまでも、せめて尻尾《しっぽ》を振るがよい――だからな。丈夫なことといったら、わたしは馬もはだしさ。わたしの亡《な》くなった親父《おやじ》は、剽軽《ひょうきん》な人だっ
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