まいま》しそうに)厭になるなあ、まったく。
アーニャ かまわないわ。川のほうへ行きましょうよ。あすこはよくってよ。
トロフィーモフ 行きましょう。(ふたり歩きだす)
ワーリャの声 アーニャ! アーニャ!
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[#地から2字上げ]――幕――
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     第三幕

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アーチで奥の広間と区切られた客間。シャンデリアがともっている。次の間で、ユダヤ人の楽団の演奏がきこえる。二幕目に話に出たあれである。宵《よい》。広間ではグラン・ロン([#ここから割り注]訳注 大円舞[#ここで割り注終わり])の最中。やがて≪Promenade《プロムナード》 〔a`〕《ア》 une《ユヌ》 paire《ペール》!≫([#ここから割り注]訳注 一組ずつ行進![#ここで割り注終わり])というシメオーノフ=ピーシチクの掛声がして、順々に舞台へ出てくる。――先頭の組はピーシチクとシャルロッタ、二番目はトロフィーモフとラネーフスカヤ夫人、三番目はアーニャと郵便官吏、四番目はワーリャと駅長、等々。ワーリャは忍び泣きに泣いており、踊りながら涙をふく。最後の組にドゥニ
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