利子が払えそうなんだ。
ワーリャ どうぞそうなればねえ!
ガーエフ 火曜日に出かけていって、もう一度話してみよう。(ワーリャに)泣かないでもいい。(アーニャに)ママさんはロパーヒンに相談するだろうさ。あの男は、もちろん、いやとは言うまい。……それからお前は、ひと休みしたら、ヤロスラーヴリの伯爵夫人のところへ行ってみるんだな、お前の大伯母さんだからね。といった工合に、三方から運動すれば――もうこっちのものだ。利子は払えるさ、断じてね。……(氷砂糖を口へ入れる)わたしの面目なりなんなり、なんでもかけて誓うが、この領地は売られるものかね! (興奮して)ぼくの幸福にかけて誓う! さあ、この手が証人だ(片手を相手に差出す)――もしこの僕が、ずるずる競売へまで持ちこませたら、その時こそ僕を、やくざとでも恥しらずとでも言うがいい! ぼくの全存在にかけて誓うよ!
アーニャ (気持の落ちつきが戻《もど》ってきて、彼女は幸福だ)あなたは、なんていい人でしょう、伯父さま、なんて利口な! (伯父を抱く)やっと安心したわ! わたし安心して、とても幸福!
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フィールス登場。
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