棣棠の心
岸田國士
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)接吻《くちづけ》
〔〕:アクセント分解された欧文をかこむ
(例)〔――Seigneur, que nous e'tions jeunes alors......le monde n'e'tait pas assez grand pour nous――〕
アクセント分解についての詳細は下記URLを参照してください
http://www.aozora.gr.jp/accent_separation.html
−−
ファルギエール通りの貸本屋で、「マリイへの御告」を借りて来て、それをモンパルナスの墓地で読んだ――クロオデルを初めて知つたのはその時である。
ボオドレエルの死像の前に菫の花束などが置いてあつた。
なるほど、これは違つた世界だ――さう思つた。
やがて、喪服を着た若い女の、つゝましい瞬きに心を惹かれた。
――然し、その女は「天刑病者の接吻《くちづけ》を受けた女」に似てゐた。
アール・エ・アクシヨンのスチュヂオで、ララ夫人の「正午の分配」を聴いた。
それは一つの啓示であつた。
――
次へ
全3ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
岸田 国士 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング