地を作るのにも、そのへんの農民や苦力を大勢使ひます。たゞで使ふ。兵隊は監督するだけだ。これなら、暇をかけて、いくらでも念入りにやれるでせうよ」
朝の空気はそれでも冷いとみえて、時々、年輩の将校が火にあたりに来る。
飛行服の一将校が突然はひつて来て、一方の壁に貼りつけてある地図に向ひ、何やら説明をしはじめた。
それが出て行くと、G氏は、私を地図の前へ招き、今はひつたばかりの情報を聞かせてくれた。
私は、○○機のことが気になるので、そのことをちよつと断つてこの小屋を出た。
やつと尋ねあてると、飛行機は出るばかりになつてゐるが、天津からの気象通報で、向うは霧が深いことがわかつたので、しばらく出発を見合せてゐるといふ話であつた。
松竹映画班の一行がやつて来た。飛行機へ爆弾を積むところを写すのださうである。私も、それは見ておきたい。
○○部隊の○○機数台が、○○キロの爆弾を翼下に抱へ込む操作が開始される。
瞬きをせずに見てゐるのは辛い。
○○部隊長は、腕時計を見てゐたが、そこへ出動命令が下つたらしい。
操縦士一同は部隊長の天幕へ集合した。
「○○部隊はこれより○○方面に出動し
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