にいくぶんは違つた意味をもつてはゐませうが、ともかくも、中国人と日本人とが、事こゝに至つても、なほかつ仇敵の間柄ではないといふことを、両国の政府がはつきり声明し、国民も亦それぞれ、その点を深く認識してゐることであります。この認識は、外交の掛引からは遠いものであると私は信じたい。少くとも、さういふ信念をもつて、両国民の不幸を見つめ、その前途を憂へてゐる日本人、殊に、知識層の大部に、私は少数の方々でもいゝ真に同志と呼ばるべき御国の知識人の声を聞かせてやりたいのであります。
 今日こゝにお集り下さつた方々は、その経歴、地位、また、現在の出処進退に於て、われわれが躊躇なく、味方と呼び得る方々であらうと信じますが、私自身、日本人として当然の国民的義務を負うてゐますと同様に、皆さんも、中華民国人として、言論行動の上の制約を顧慮せられなければなりますまい。これは申すまでもないことで、私がたゞ、皆さんから伺ひたいと思ふのは、専ら、文化的な部門についてであります。例へば日中両国民の提携による平和百年の事業が、果してどんな基礎の上に築かれなければならぬかといふやうな問題について、皆さんの抱負なり、予想なり
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