れてゐた。
「お前達はどこへ行つたの」
私がかうたづねたけれども彼女は答へなかつた。室の中が一種の淋しい空気で一杯になつた。私は二度と訊かなかつた。
暫くすると彼女は自分から旗行列の感想を話しだした。
「今朝私達は学校に行つた。しかし何のためだか知らずに行つた。先生が来いと云つたから私達は行つた。
校長先生は一言もものを言はない。たゞ沈黙のうちに私達に旗を渡した。私達学生も旗を受取つて一言もきかうとしなかつた。旗の上には『○○○○○』と書いてあつた」
校長も説かず、生徒も問はず、各人が暗黙の裡に旗行列に行つたのださうだ。
私はこの姪の言葉を開いて心中非常に痛快であつた。
「叔母さん、あんたの学校は何故行かなかつたの」
彼女が私にかう訊いた。
「私の学校は行かなかつた。去年お前達の学校が排日のデモンストレーシヨンの時にも私達の学校は行かなかつた。去年お前達は大きな声で旗を振上げながら『みんな起ち上れ(大家起来)』の一句を叫んだではないか。しかし私達の学校は参加しなかつた。それだから今日もやつぱり参加しなかつたのだ」
「叔母さんの学校はいゝわね」
「去年お前達はどう云つた、私は
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