は、御承知の方もあらうが、所謂『おとこ女』で、戦後のモダン・ガアルを中心に、巴里社交界の秘事を暴いたものである。小説家が小説を書いて勲章を取り上げられるのだから、仏蘭西政府の芸術家優遇もあてにならないわけである。果して、アナトオル・フランスは、かの『ボ※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]リイ夫人』事件を例にあげ、時の政府を痛快に皮肉つたが、「ギヤルソンヌ」はこの事あつて以来、内外の人気を沸騰させ、文字通り忽ち数十万部を売り尽したと伝へられる。「仏蘭西と勲章」はこの通り豊富な話題を作つてゐるが、日本の文功章も、せめて、それぐらゐの役に立てば拾ひものであらう。(一九二八・一〇)



底本:「岸田國士全集21」岩波書店
   1990(平成2)年7月9日発行
底本の親本:「時・処・人」人文書院
   1936(昭和11)年11月15日発行
初出:「悲劇喜劇 創刊号」
   1928(昭和3)年10月1日発行
入力:tatsuki
校正:門田裕志
2007年11月14日作成
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