ぢやないが、本当はもつと考へなければわからない問題ばかりぢやないかと思ふのですね。こゝで何か、自分の体の坐り方を急に決めてしまふといふやうなことは、余り必要のないことではないかと思ひますね。
僕はこんどいろいろな人に会ふ機会が出来て、今まで識つてゐる人も、識らない人も、こゝで何か一つ新しい話題で話し合ふ機会がずゐぶんあつたのですけれど、非常に頼もしいと思ふのですよ。それで僕は非常に勇気が出てゐるんです。実際いふと、今までの政治的指導者が、知識層といふものを実に識らなかつたといふことを、つくづくと感じるのですね。われわれが更めて頼もしいと感じるのは、今まで頼もしくないと思つてゐたのをさう感じるんではなくて、かうまで頼もしいかといふ感じ方ですけれどね。
国民文学といふ概念についてですか? 無論僕自身も考へますけれど、僕の考へを先に発表して、それを検討して貰ふといふやうな形でなく、寧ろ現在の日本文学の推進力になつてゐるやうな人たちにですね、その問題について、ひとつ研究して貰ふ機関を創りたいと思つてゐるのです。
その場合にですな、やつぱり文学だけを離さないで、文学と芸術のいろんな部門を一
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