文学界後記
岸田國士

−−
【テキスト中に現れる記号について】

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)だん/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−

          ○
 文学界の精神といふやうなものがだん/\はつきりして来たことはうれしい。
          ○
 当代の文学者が、それ/″\の立場の上で、互に共通の目標を自覚しはじめたことの証拠である。
          ○
 文学が文化運動の流れに沿ひ、しかも、これを誘導すべき役割をもつといふ意味が、俄かに拡大された理由をもつとはつきりさせねばならぬ。
          ○
 そのために、創造の幾部分が啓蒙に捧げられても悔いない覚悟を、同人の大多数が期せずしてもつに至つたことは、悲壮と云つてもよろしい。
          ○
 が、実は、悲壮でもなんでもない。それが、今日、自分たちを生かすただ一つの道だとしたら!
          ○
 十八世紀的臭味など恐るゝに足らぬ。
 現代の日本では、二十世紀なる言葉は凡そ空虚な響きをしかもたぬことを知るものは知つてゐるのだ。
   
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