ゐる人の間に、おのおの、専門家を一丸とする団体の結成といふ議が進められ、既に一部は実現をみたものもあつたのでありますが、なにぶん、それぞれの分野にはつきりした指導精神といふものがなかつたのであります。国民の後継者たる児童たちに、今、何を与ふべきかといふ問題は、なによりも、今日までの児童観、誤つた自由主義的な「子供を観る眼」から是正して行かなければならないのでありまして、それには確乎とした国家の方針が定められてほしいのであります。
そこで、翼賛会文化部に於て、先づ、児童関係の文化行政に従事する各官庁の主務官に参集を乞ひ、児童教育に造詣の深い各専門家との合同協議によつて、政府としての指導監督を各官庁まちまちといふこれまでの弊を除くこと、民間の専門家及び関係業者の間に緊密な交流連絡を行ふ組織を作ることを決定したのであります。
参考のために記しておきますと、現在、児童読物の監督検閲は内務省、絵本の指導推薦は文部省、演劇と紙芝居は警視庁、映画は主として内務省、玩具は商工省、幼児の哺育器具材料は厚生省といふ風に、専門があまりに分れすぎてゐて、それを綜合した統一的指導といふものが何処でも行はれて
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