、鋭く豊かな「文化感覚」の錬磨を怠ることはできません。
類ひなく輝かしいわが国体の尊崇は、われわれの現在生きつゝある日本の、世界に冠絶する理想のすがたを夢みる一臣民としての悲願と、その悲願を幾代かゝつても達成しようとする、ひたぶるな意志とによつて示されなければなりません。
日本の理想顕現を阻む敵は、外に米英ありとすれば、内に「卑俗な精神」ありと、敢て私は云ひたいのであります。
[#7字下げ]六[#「六」は中見出し]
以上、能率と健康と品位と、この三つを「文化」の現れとして現在の国民生活のなかにしつかり植ゑつけなければなりません。
そして、この三つは、互に持ちつ持たれつの関係にあるのです。即ち、能率を上げるためには心身の健康が大切であり、健康を保つためには能率のいゝ生活をしなければならず、生活の品位は、精神の健康を基礎とするものであるといふ風に、絶えずこの三つの点を同時に考へて行かねばなりません。
そして最後に、正しい意味における「教養」とは、これら三つの条件を、完全な力として身につけることを指すのだといふことを銘記してほしいと思ひます。すぐれた「文化」をもつとは、正しい「
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