、様々な感情を言ひ現はすことができる。
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――おや、こいつは珍らしい。
――君は、約束をしといて、なんです、今頃。
――ああ、やつと来てくれたんですか、待つてましたよ。
――なんだ、こんなところへわざわざ来なくつてもいいのに……君は。
――やあ、たうとう来ましたね、それでも。
――へえ、君はよくそれで、おめおめここへ来られたもんですね。
――や、丁度いいところへおいでなすつた。
――さあ、それぢや一つ、よく話をきめておかうぢやありませんか、君が来た以上は、ね、さうでせう。
――なるほど、君はこんなところにゐたんですか。僕はまた、もつとずつと遠方に行つてるんだと思つてましたよ。
――ひどい目に遭ひましたね、さぞお困りでせう。お察しします。
――実は弱つたことができたんですよ。
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等々々、この外「無数」と断つてある。
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――どうも早や面目次第もありません。
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道草が長くなつたが、「物言ふ術」の研究は何れもつと系統的に述べて見たいと思つてゐる。
序に、仏蘭西語で書かれた参
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