物言ふ術
岸田国士

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)科《しぐさ》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから1字下げ]

〔〕:アクセント分解された欧文をかこむ
(例)〔Voici six chasseurs se se'chant, sachant chasser sans chien.〕
アクセント分解についての詳細は下記URLを参照してください
http://aozora.gr.jp/accent_separation.html
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「物言ふ術」とは、仏蘭西語の ART DE DIRE を訳したつもりである。
 ART DE DIRE は、謂ふところの「話術」又は「雄弁術」ではない。既に「言はるべき言葉」が例へば文字として表示されてゐる、それを如何に「肉声化」するかといふことの工夫である。かういふとおかしくなるが、俳優の「白」に外ならない。
 日本劇の伝統で「せりふまはし」とか、或は、「口跡」とかいふ言葉は、この「物言ふ術」の一部と見るべきであらう。
 そこで問題は、わが国の演劇が「物言ふ術」を今日まで如何に取扱
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