なければ満足しない。しかし栄養方面から云へば、腹いつぱい喰べたからと云つて、それでいいとは云へないのです。さういふことに心をつかへば、米の消費が半減できるのぢやないかと思ひます。かういふことは、訓練すればできると思ふのです。例へば兵隊が入営した当初は、腹がすいて仕方がないが、一月もたてば与へられた分量で十分になるといふやうに、訓練次第でなんとかできると思ひます。
仕事の仕方などにしても、非常に永い間机にかじりついてをりますが、能率はあがらない。さう考へてくると、どうしても貧乏でなければならぬ原因、といふより、貧乏であるといふことの責任は、国民すべてが負はなければならぬと思ふのですが、これを納得のゆくやうに説明して全体の運動にして行かなければならないのであります。
生活の精神と技術
この間、ヒツトラー・ユーゲントが来て、高等学校の寮をみせたところ、ヒツトラー・ユーゲントは驚いて、こんな生活をしてゐて、これで日本の指導者が生れるだらうかと云つたさうです。更にドイツに帰つて、日本で一番不愉快だつたことは、その寮を見た時だつたと語つたことが伝へられてゐます。これは、日本人の生
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