女の書いた作文を原作として舞台に上演したもので之は非常に素朴で真に迫つた情景を舞台に写し出した為に可なり成功しました。それから文学座と云ふのは主として其の目的とする所は、日本の新らしい芝居を作り出す為にはどうしても一つの新らしい技術と云ふものを必要とする。歌舞伎の技術でも新派の技術でも新らしい芝居は出来ない。さうかと云つて西洋の芝居を其儘採入れて西洋の俳優がやる演伎を其儘日本人がやつても、之は又日本の新らしい芝居にはならんのですから、現在の日本人が現代の芝居の演劇技術と云ふものを作り出して始めて日本の新らしい演劇が出来るのだと云ふ主張の下に、主として只今では俳優の訓練と云ふことを目的として居ります。此処でやられる脚本は日本の若い作家で、西洋の新戯曲の影響を受け、しかも純粋の日本語。日本の言葉として新らしい戯曲の、スタイル、文体を獲得した作家のものを選んで文学座の上演目録、レパートリーにして居ります。之は東京で大体隔月位に公演して居ります。文学座の方は飛行会館の会場で短く短期間の公演をやります。此三つの劇団が所謂純粋の新劇運動をやつて居る劇団であります。此外独立した職業劇団と云ふものがあ
前へ
次へ
全37ページ中33ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
岸田 国士 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング