式は欧羅巴の新らしい芝居の中にも模倣或は影響が見られるのであります。もう一つ最後に扮装の事でありますが、扮装に於て歌舞伎の衣裳、鬘と云ふものも注目すべきであります。殊に化粧でありますが、其の化粧に就て矢張り独特な見方があるのです。之も精しくいふと非常に長くなりますが、其の中でも例の隈取《クマド》り。此|隈取《クマド》りと云ふのは人物の容貌と表情とを誇張した扮装術で、其の人間が良い人間か、悪い人間か、強い人間か、優しい人間かと云ふことがひと目でわかるのでありまして、其の特徴を現すと云ふ方法が非常に発達して居ります。最も此|隈取《クマド》りは支那劇に在るのであります。恐らく其の源は支那劇であらうと思ひます。大体之で能と歌舞伎の事は申しましたから、之位にして置きます。
最後に新興演劇に就てお話します。明治以来の新らしい演劇は之も歴史的にどう云ふ風になつて来たかと云ふ事を申上げますと、それは大変面倒でありますし、直接興味が薄いと思ひますから、現在行はれて居る芝居の中で明治以後に於て生れた芝居に就て一通り目を通して見たいと思ひます。先づ第一は歌舞伎劇を幾分新らしく書き直し、或は歌舞伎劇のテクニ
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