に於て協力を計ることであり、その意味で、適宜に研究会、座談会等を開き、俳優と批評家との接触による相互の便益が加へられる筈であります。
 二、「日本の演劇世界のなかにある封建的――資本家的――親方制度的――タカリ的なさまざまな中間搾取メカニズムをなくなして行くことは」、申すまでもなく、必要であります。
 また、それは当然、可能な筈ですが、現在の興行者の理想と、劇場の組織と、これに従属する芸術家の教養のなかでは、もはや、絶望と考へられてゐます。小生も決して貴下以上に既成演劇界の事情に通じてゐるものではありません。しかし、仕事の関係で、その「腐蝕的」な現象には、絶えず顔を顰めさせられてゐる一人です。根本的な問題には、案外眼をふさぎたがる日本人の通弊でありませうか、この問題は、従来、誰がなんと云ひ出してみても、有耶無耶に葬り去られ、外部からはどうにもならない問題として見逃されてゐるやうです。
 一度、責任ある人物の口から、これでいいのかどうかを聴きたいと思ふのは小生ばかりではありますまい。
 が、さういふ特殊世界は、最早、何等時代に貢献する力もなく、早晩内部的に崩壊するでありませう。なるやうに
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