ならしめよです。それよりも、われわれは、これと関係なく、別個に「新しい演劇の土壌」を耕すべく奮起しなければなりません。「新劇運動」の使命の一つは、劇場文化の近代性と合理性とを先づうち樹てることです。従つて、われわれ新劇関係者の共同の目標は、個々の芸術的立場の上に、一切の私情を棄てて、過去の舞台裏的弊風と戦ふことにあると信じます。
日本新劇倶楽部は、かかる意志の結合から生れたものであり、一般識者の支持を得さへすれば、将来、その点で何事かを成し得るであらうことをこの際吹聴しておきます。
最後に、これはお答へではありませんが、わが演劇文化の現代的水準といふ問題で、小生は予て、今日の知識層、特に、文学者諸氏に訴へたいものをもつてゐるのです。貴下のやうな方が、計らずもこの種の問題に積極的関心を示されたことは、何よりも大きな悦びであります。(一九三五・六)
底本:「岸田國士全集22」岩波書店
1990(平成2)年10月8日発行
底本の親本:「現代演劇論」白水社
1936(昭和11)年11月20日発行
初出:「読売新聞」
1935(昭和10)年6月5日
入力:tatsuk
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