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らく  さうさう、いい話を聞きましたよ。
一寿  (大袈裟に)ああ、たまにはいい話を持つて来てくれ。
らく  さういふいい話かどうか知らないけど、今ゐる家の階下《した》の店へ来る問屋さんでね、悦子さんの学校へ文房具を入れてる人があるんです。その人がさう云つてましたよ――悦子さんは、どうして、すごいんですつてね。
一寿  さういふ噂は、半分に聞いとくといい。
らく  そりや噂だから、根も葉もないことかも知れないけど、なかなかすごいんですつて……。
一寿  すごいすごいつて、なにがすごいんだ?
らく  すごいんですつて、ああ見えて……。
一寿  校長を丸め込んでるとでも云ふのか?
らく  まあ、あたしの口からは云はない方がいいでせう。
一寿  やれやれ、さういふ癖が、お前にもあるのか。四十年この方、わしの識つた女は、例外なくそれだつたよ。
らく  そんなら言ひませうか。
一寿  云はんでよろしい。聞きたくない。
らく  あら、怒つたんですか?
一寿  (火鉢の炭を吹きながら)拗ねてみせるやうな年になつてみたい、もう一度……。
らく  悦子さんは、若い男の先生達から、とても騒が
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