は別として、我儘な女としては、成り立たんこともないと思ふが……それでは、父親の僕が相済まんわけだ。そこは、平に御容赦を願ふとして、いいかね、今日はひと先づ、あいつの我儘をゆるしてやつて下さい。人間は感情の動物といふが、女はまた格別だ。まあ、気分が悪いといふ口実を設けよつただけでも、あいつにしては可愛らしいと、そこは、男の方で腹を見せてやり給へな。
田所  僕は、女の心といふものをそれほど深く識つてる筈もないんですが、愛子さんのその態度は、まつたく、不可解と云つたぐらゐでは済まされないもんです。そちらで、飽くまで事実を否認なさるんなら、それで僕も万事を了解しませう。ただ、最後のお願ひとして、その一言を、愛子さんから直接伺ひたいもんですが、どうでせう?
一寿  それがさ、君、今云ふ通り……。なにしろ、二十四と云つても、女はまだ子供だ。一人歩きはできんのだよ。自分を求めてゐるのだと知つた相手に対して、婉曲な拒絶の方法など考へられるものか。そこで、気分が悪くなつたり、腹痛を起したりする……。
田所  いいえ、僕は婉曲な断り方なんかして欲しくありません。はつきり、厭やなら厭やで結構です。但し、僕
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