れど、船で泥棒をした苦力を南京袋へ押し込んで、海ん中へぶち込んぢやつたりしてね。
悦子  え? そして……?

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その時、一寿が現はれる。
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一寿  別々に話を聞いたんでは、どうもよくわからんが、……(悦子のゐるのに気づき)あ、お前は遠慮した方がよからう。(悦子の姿が消えるのを待つて)さつきの君の話は、たしかなんだらうね。当人は、君のことを忘れてはをらん。これは、現に当人が前言を取消したんだから安心し給へ。ところで、君との関係だが、君の云ふやうな約束に類したことは、絶対にしてをらんと云ひ張るんだがね。その点は、何か君の勘違ひぢやないか? 或は、思ひ過しとでも云ふか。
田所  (苦笑して)さうすると、僕が、余つぽど間抜けな男になるわけですが、それを事実について申上げることは、なんとしても忍びません。自分自身のために忍びないんです。しかし、あなたの公平な御判断で、愛子さんが、僕に会ふことを拒まれる点の理由を突きとめていただきたいもんです。
一寿  会ひたくないから会はんといふ理由も、紳士に対する礼
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