れだけのデリカシイがあるなら、僕も、強ひて訊くまい。愛子から云はせることにしよう。かうつ[#「かうつ」に傍点]と……では、またといふのもなんだから、君、しばらく、悦子と話でもしてゐてくれ給へ。僕は、ちよつと愛子の様子を見てくるから……。
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一寿が奥へ引込むと、入違ひに悦子が現はれる。
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悦子 (小声で)妹はどうしてああでせう。お目にかかるのが恥かしいのか知ら……。あたくし、お手紙のこと、知つててよ。
田所 ああ、僕の手紙ですか。愛子さんは、ほんとに読まないで破いちまつたんでせうか。兄さんのところへは、さう云つて来てましたよ。どうも、そいつが信じられないんだ。
悦子 あたくしにも、絶対、あなたのことは隠してるんだから、不思議だわ。でも、今奥で話したけれど、あの女《ひと》たしかにどうかしててよ。そりや、気分もわるいにはわるいんでせうけれど、御挨拶ぐらゐできない法ないつて、あたし、さんざん勧めてみたの。駄目ね。変りましたよ、以前と……。冷たいつていふのか、強いつていふのか、あの頃から見ると、
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