自分の気持を伝へ合ふだけのことである。昔の日本人は恐らく、進物といふものに言葉には尽せぬ深い意味を象徴させてゐたのかも知れぬと思ふ。すると、時局は遂に忘れられた象徴の本来の姿をわれわれに思ひ出させることになるだらう。
現代日本人は、まことに「感情」を、殊に「感謝の念」を言葉に現はすことのまづい、或はきらひな国民だつたのである。
国民の総親和がいよいよ暗黙のうちに行はれてゐる所以である。(「文芸」昭和十四年八月)
底本:「岸田國士全集24」岩波書店
1991(平成3)年3月8日発行
底本の親本:「現代風俗」弘文堂書房
1940(昭和15)年7月25日発行
初出:「文芸 第七巻第四号」
1939(昭和14)年4月1日発行
「文芸 第七巻第七号、八号」
1939(昭和14)年7月1日、8月1日発行
※初出時の題は「言葉、言葉、言葉」(第七巻第四号、第七巻第七号)「言葉言葉言葉」(第七巻第八号)。
入力:tatsuki
校正:門田裕志
2009年11月12日作成
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