新聞小説とは
岸田國士

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【テキスト中に現れる記号について】

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(例)どういふ要求から[#「どういふ要求から」に傍点]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)なが/\
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「新聞小説」についての感想を書けといふ注文である。本紙連載の「泉」をやつと書きをへたところなので、それがどういふものであるにもせよ、自分のことを問題にするやうで気がひけるけれども、経験を経験として率直に語つてみよう。
 職業的といふ言葉が当節いろんな意味に使はれてゐるが、私は、「新聞小説」ぐらゐ「職業」といふ意識をもつて書かなければならぬ文章は、ほかにはさうないと思ふ。これは必ずしも「新聞小説」を卑めていふわけではない。そこで「職業」といふ言葉に対する考へ方をまづきめてかゝらねばならぬ。
 第一に、新聞がなぜ現在とりつゝあるやうな形式で小説を連載する必要があるのかといふ点である。
 第二に、新聞の読者で、小説をも毎日欠かさず、或は気が向いた時だけとびとびに読む人々は、いつたい、どういふ要求から[#「どういふ要求から」に
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