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献作去る。とねが、その後を見送る。
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州太 おい、そんなところに立つてないで、早く、ビールでも出したらどうだ。
とね ビールはもうみんなになりましたけれど……サイダアぢやいけませんか?
時田 わしはなんでも結構。(間)だが、どつちみち、この夏の間には合はないね。
州太 (とねに)わしには水をいつぱい……。(とね去る)この夏は、まあ、土地を見せるだけにして置くんです。かういふ仕事は、あせつちやいかんです。なにしろ、もうちつと景気が出なけれや……。
時田 おほきに……。だが、こいつは当てにならないしね。
州太 それがですよ。温泉が出ると出ないとでは、大変な違ひですからね。なに、いよいよ温泉が出るつていふことになれや、これこそ、軽井沢と草津とを一と所に集めたやうなもんでせう。
時田 軽井沢はとにかく、草津の湯つてものは、さう何処からでも出るもんぢやなしね。
州太 さうですとも。これで、いろいろ計画をしてゐるんですが、日本で初めての試みとして、あの山のスロープを利用して、グライダアをや
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