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二葉  (努めて平気を装ひながら)お父さん、あのね、青木さんは、この次の上りで、帰るんですつて……。
州太  ……(二葉の顔を見ない)
二葉  (新井に)だから、自動車をね……もう、すぐでもいゝわ……。
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     四ノ一

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小舎の入口――「一」と同じ場面。
その日の真夜中。
テラスの上で、とねと新井とが話をしてゐる。
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新井  僕、やつぱり行つてみよう。なんだか気がかりだ。わからないやうに、後をつけて行けばいゝでせう。

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とね  そんなことしたつておんなじよ、あたし、はじめつから、はゝあと思つたんだけれど、わざと止めなかつたのよ。一旦、さういふ気を起したら、何時、何処でだつて……。
新井  しかし、無理にでも思ひ止まらせるのがほんとぢやありませんか、こつちでさうと覚つたら……。
とね  駄目よ。あたしには、そんな力ないから
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