に動いてゐなければならず、強ひてこれに反するやうな表現をもつて己の意見を述べるのは、国民としての「たしなみ」でないといふことを深く知つてゐてほしいと思ひます。
戦争はたゞ米英文化をわが国並びに東亜から一掃するだけではありません。わが国の文化を、正しい伝統に引戻し、これを更に発展させると同時に、東亜諸民族の生活の上に光被せしめる使命と力とをもつてゐます。
こゝにも亦、青年の負ふべき大任があります。青年は、先づ学生生徒として、身をもつて、明日の文化を築く地位に立ち、更に兵士、その他として戦線に赴き、直接間接、後進民族に誘導の手を差しのべなければなりません。日本青年の一挙手一投足は、そのまゝ若き日本の姿として、彼等の眼に映り、彼等の興味を惹き、彼等の夢をかきたてるでせう。
新しい日本の、伝統に根ざした文化の様相については、前二章であらましのことは尽したつもりですが、それらの説明でもわかるやうに、もちろん、「文化」とは「文化」の名を常に冠して存在するものではありませんし、これが「文化」だと意識しながら、それを創り、また受け容れるものでもありません。
例へば、この戦争で、ありがたいこと
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