意味において、これは優れた文明の一要素をなすものと考へるのであります。従つて単なる文明謳歌といふものは、これは文化の健全性に反するものであります。文化を不健全ならしめ、或は文化を低めることさへあるものと考へるのであります。近来のアメリカ文明といふものが、文化的に見て甚だ不健全であり、また同時に文化的に見て低位であるといふことは、殆ど世界の輿論であります。
今日までの文化も文明も、東西を通じてやはりこの方向を辿つて来た観があるのであります。ただわが日本は幸に三千年の伝統と鬱勃たる愛国の精神によつて西欧文明の侵略主義に向つて、正義の鋒をとる段階に這入りました。私はこれが大東亜戦争の、重大なる意義だと思ふのであります。
即ち彼等の文化は、既に理想を失つた国々の気息奄々たる文化であると思ふのであります。辛うじてその文明が、民族の力を支へてゐるにすぎない。いかに精緻巧妙な衣を纏うてをりましても、人間の慾望が神の前に屈しないといふことはないのであります。その証拠に彼等多くの国々は、文明の奴隷たるにすぎない有様になつてをるのであります。
真に優れた文化とは、神の意思を体して世界に永遠の平和を齎
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