力、更に、少し妙な言葉でありますが、「独往的な実践」といふものが文化団体の一つの性格として、どうしても必要だと思ふのであります。この場合に当然各行政官庁、翼賛会、また他の組織との間の関係を充分考慮に入れながら、その決意をもつて進まなければならないと思ふのであります。無用の対立或は摩擦或は力の重複といふやうなことを避けるやうに、充分御考慮願ひたいのであります。
また翼賛会と致しましてもさういふ風にすべて各団体の調整を図ることに、将来努力するつもりであります。さういふ対立とか摩擦とかいふやうなことがありましては、如何なるいい目的をもつた仕事でもその効果があがらないものでありますから、その点は充分御注意願ひたいと思ひます。
私は前から考へてゐるのでありますが、今日日本に必要なことは今まで非常に大事だ大事だと思はれてゐた事柄で実は少しも手がつけられてゐないといふことが非常に多いのであります。これは文化の面においても同様でありまして、誰かがまづそれを始めなければならんと思ひます。しかしその始めたものが自分一人で、或はまた自分達だけでそれができると思ふことは、非常な間違だと思ふのであります。
前へ
次へ
全17ページ中15ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
岸田 国士 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング