、駸々《しん/\》として国力の発展を見つゝ、今や、亜細亜の解放を宣して強大米英の鋒先を挫くべく、決然起つたのが、われわれ日本人であります。これを矜りとせずして何を誇り得ませう。
かくの如き日本人のすがたは、決して偶然に示されたものではありません。
国の成り立ちから、既に神慮によつて定まつてゐたとは申せ、歴代の聖天子を中心とし奉り、われわれの祖先がひたすら忠誠をもつてこの国の繁栄のために精根を傾けたからでありまして、しかも、それは、行へば必ず為し遂げ得る絶大な国民の能力を示したことになると信じます。
これまた、われわれが自ら恃むところある所以であります。
偉大なる国民としての性能、素質を恵まれてゐるといふことは、明らかにわれわれの矜りとするところでありますが、この性能、素質を国民のすべてが受け継ぎ、その真価を十分に発揮してゐるかどうかといふことになると、これはまつたく別問題です。
従つて、この点でわれわれは、個人として、日本人たるの矜りをもち得るためには、それだけの覚悟と修業が必要でありまして、「日本人は偉いぞ、但し自分は例外だ」といふやうなことでは、困ります。
さて、今度は
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