どを追ふよりも、むしろますます、かゝる非凡人の努力の生ひ立ちに学ぶ方が、どんなにいゝかわかりません。しかし、それだけではまたいけない。もつともつと必要なことは、日本の歴史を深く味ひ、更に郷土の歴史を精しく調べ、同時に、青年としての自己の本分をしかと胸にたゝみ、その上で、人間の価値についての正しい批判の尺度を、傑れた文学によつて自分のものとすることであります。
 夢は手近なところから遠大なものへと伸びて行きます。
 勤労と修学とを含んだ日常生活からはじまり、「かくある自分」と「かくあるべき自分」との距りに気づけば、もはや、美しい夢の門口に立つたのです。自分を「かくあらしめる」工夫と努力に一歩踏み出せば、そこでは、おのづから、典型の創造が企てられてゐるのです。かうなつたら、夢の翼をひろげるだけひろげるがよろしい。夢は飽くまで美しく、飽くまで逞しいものとしなければなりません。しかも、それは如何に遥かなりと雖も怖るゝに足りない。たゞ、怖るべきは、純潔ならざるものの混入することであります。僥倖をたのむ心理が、夢に化けて忍び込むことであります。
 真に美しく、逞しい夢は、決して甘くもなく、また、明
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