年にせよ、その人物が世の中にゐるといふだけで、既に、世の中の光明たり得るのです。何をしてゐる人間かといふことはその次です。
 ある職業が時に社会から軽視されてゐたとすれば、それはその職業本来の性質からではなく、その職業に従事するものの大部分が、如何なる意味に於ても、高い理想をもたず、美しい夢を失ひ、仕事と生活とを通じて、自ら矜りを捨て、顧みなかつたからであります。
 一見、職業の性質がさうさせたやうに見える場合でも、深く事実を見究めれば、決してさうではなく、社会の偏見を是正し、または、これと戦ふ識見と勇気とを欠いた、職業伝来の自卑的態度によるものです。故に、誰かが起ち上つて先づ自己革新の狼火を挙げ、進んで天下の蒙を啓かうとすれば、何時かは周囲が風に靡かぬ道理はありません。こゝにも既に、大きな夢があります。そして、一つの新しい典型はその夢からこそ創り出されるのであります。
 それならば、青年男女の夢を養ふものはなにかといふと、これまでは、多くは、英雄偉人の立志伝であり、或は、貞女烈婦の美談でありました。これからもそれは不必要だといふのではありません。卑俗な一攫千金の夢や、玉の輿に乗る夢な
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