たらわかるぢやないの。

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(長い沈黙)
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少女の声  まあ、あんたは、どうしてさう暴れるの。駄目よ。そんなに騒いだつて……。何処へ行かうつていふの……。あら羽根が折れるわよ……。お待ちなさい。そんなに火のそばへ行きたいの……。どら、そこは硝子だから、はひれないのよ。馬鹿ね、あんたは……。

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(長い沈黙)

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さうれ御覧なさい。痛かつたでせう。さ、もうあかりを消してよ、あたし、寝るんだから……。

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(長い沈黙)
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女郎花  お嬢さんが寝るなら、あたしも寝よう(横になる)
桔梗  御覧なさい、芒さんは、もうぐうぐうよ。
桔梗  どうでせう……あんた、足が冷たくはない……? あたしの足、こら……一寸、さわつて御覧なさい。まるで石みたい……。
女郎花  あんたの足は、いつでも冷たいのよ。今夜だけぢやないわ。
桔梗  さうか知ら……。(頭を払ひながら)いつの間に
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