分滑稽な方ね。
老婆 お父さまやお母さまの御心配は、どんなだとお思ひになります……。
少女 それからどうしたのよ、風は行つちまつたの……。
老婆 (泣きながら)お嬢さま、お願ひで御座います。どうか一と言お返事をなすつて下さいまし。
少女 (笑ひながら)あら、いやだ。
老婆 (驚いて)へ?
少女 そんなこと訊くならいや……。(ぷんと起ち止り)芒さんはそんなこといふから、あたし、きらひよ。ねえ、桔梗さん。あなた、あたしの部屋へいらつしやらない。え、ぢや、女郎花さんと一緒でもいいわ。(少女、桔梗と女郎花とを連れて退場)
老婆 (このあとを追ひながら)あああ、ながいきはしたくない。
芒 (しばらく考へた後)あの婆さんは、なにをいつてたんだらう……。しかし、あの娘が病気だつていふのは、どうしたんだらう。なにかわけがありさうだね……。
蛇 (突然草叢の蔭から逼ひ出し)おい、黙つてろい!
[#ここで字下げ終わり]
[#地から4字上げ]――幕――
底本:「岸田國士全集2」岩波書店
1990(平成2)年2月8日発行
底本の親本:「新選岸田國士集」改造社
1930(昭
前へ
次へ
全14ページ中13ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
岸田 国士 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング