神のなかに形づくられてゐるのである。理窟は「勝つために」ではない。「生きるために」である。この絶対な理念を超えて、人生の真実はない。戦争の偉大な教訓は、たゞ厳粛なこの真実のすがたのなかにある。
 一人の兵士が私に説明した。
「敵兵と良民とを区別せよと云はれますけれども、かうなると、調べやうがありません。なんとしても証拠があがらないんですから。時には、大勢の捕虜を並べておいて、住民の一人二人に、蔭で訊ねてみます。戸の節孔から何番目何番目といふ風に、撰り分けさせます。それでも当てにならないことがあります。前に帰順した敵の将校などを道案内に連れて来ると、さういふ時、並んでゐる捕虜の前で、不意に号令をかけさせてみます。『気をつけツ、敬礼ツ』とやるんです。根が兵隊なら、思はず知らず、不動の姿勢をとつて、手を挙げちまひますよ。はゝあ、あれだなと、見当がつくわけです」
 私は、まさかとは思つたが、それも面白い話だから黙つて聴いてゐた。
「今日みたいに暇ができると、捕虜もゆつくり調べられますがね。前進前進となると、いちいちかまつちやゐられませんからね」
「それやさうだが、この捕虜は、いよいよ敵ときまれ
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