合せに、彼等はあらゆる一挙手一投足に難くせをつけかねないのである。
 そんなことはちつとも苦にするには当らないと云へば云へる。何時かは彼等にわかる時期があるだらうと、日本人なら云はねばならぬところであらうけれども、支那に関する限り、私は、なんとかしてわれわれが最後までともに手をつなぐべき唯一の国民であることを一日も早く彼等に知らせたい。それがためには、如何なる方法を講じても、両国民に共通の言葉、共通の表現を探さなければならぬ。日本人がよき日本人であり、支那人がよき支那人であるといふことは、最も多くの相通ずる美徳、相容れる性格をもつことだといふ真理を認め合ふことが第一の問題である。
 事変は既に建設の時代に入つたといふ。それなら、われわれ国民の力は、そこへ伸びて行かねばならぬ。道を拓くのは何人の手に俟つべきであらうか。

     上海租界について

 汽車から降りると、私は重いリユックを背負ひ、両手に若干の荷物を提げて長いガードを渡つた。人混みのなかで、義弟の延原が私を探してゐる。それで助かつた。
 報道部から自動車を差向けてもらひ、宿を何処かに取らうと思つてゐると、報道部に部屋があい
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