も支那側の識者の間には持ち続けられるのではないかと思ふ。まして、第三国の眼からみれば、そこに何等かの秘された目的がありはせぬかと、ちよつと首をひねりたくもなるわけだ。こゝにも私は、日本人の自己を以て他を律する流儀が顔を出してゐるのに気づく。
戦争をあまりに道義化しようとして、これを合理化する一面にいくぶん手がはぶかれてゐる傾がありはせぬか。主観的な聖戦論は十分に唱へられてゐるが、客観的な日支対立論とその解消策は、わが神聖な武力行使の真の行きつくところでなければならず、寧ろ、これによつてはじめて東亜の黎明が告げ知らされるのだと私は信ずるものである。
そこで、いはゆる客観的な対立論とその解消策の第一項目として、私は、日支民族の感情的対立の原因の研究といふことを挙げたいと思ふ。事変そのものを挟んで、両国の運命は等しく重大な転機に臨んでゐるけれども、かゝる根本の問題について、なほよく考慮をめぐらす余裕のあるのは、彼でなくして我である。
日本人の力について
予定の日数を経過したので、いよいよ楊州を引あげることにし、私は出発の朝、旅館から部隊本部に出掛けて行つて、小川部隊長以下
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