応募者が毎期定員を超過して、施設の拡張を必要とするとのことであつた。
桂班長並に受持教師の懇請によつて、私は第三期の組で一言喋つてみた。内容は少年の頭を標準にし、用語も六ヶ月速成の語学力を斟酌して、ほんの思ひついたことを二三話したのであるが、すぐ後で、受持の藤田先生(明大商科出身、砲兵伍長)が一人の少年を指名して、今の話を翻訳してごらんと云つた。
するとその少年はつかつかと前へ出て来て、級友の方に向ひ頗る慎重な顔つきで、しかも相当流暢に、殆ど私の喋つたぐらゐの長さで翻訳をし終つた。
それを聴いてゐた桂斑長は、
「うむ、うまいもんだ。ひとつも間違つてをりません」
私もさうだらうと思ふ。級総代は見事にこの試験に合格し、先生は大いに面目を施し、私も愉快であつた。
さう云へば、街で買物などしようと思ひ、店員のチンプンカンプンにこつちが諦め顔をしてゐると、そこへぬツと顔をつきだして、いきなり「なに欲しいか?」と通弁役を買つて出る少年が時々ある。さてはこの学校の生徒だなと今気がつく。
日本語の通訳のことで面白いのは、この土地の軍隊や官庁、その他で使つてゐる支那人通訳は、いつたいどういふ
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